みなさんこんにちは。
早いもので、2021年も11月となり残すところあと2か月となりました。
今年は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の
期間が非常に長かったですが、やっと感染者数が減少し、
少し新型コロナウイルスが流行する前の状態に戻りつつあります。
これから年末にかけて、人の移動が増えるでしょうから
感染対策はしっかり行い、また感染者数が急増することのないよう、
注意して過ごしましょう。
さて、今回は先日発表されたノーベル物理学賞のお話です。
◆ノーベル物理学賞に真鍋淑郎氏
2021年のノーベル物理学賞には、日本出身の真鍋淑郎さんらが受賞されました。
真鍋さんは、気候研究を行い二酸化炭素濃度が地球の気温に与える影響を
について予測モデルを発表した第一人者です。
昨今、大気中の二酸化炭素濃度が上昇することによって、
地表の温度上昇につながるということは当たり前のように言われています。
実際に地球温暖化問題として様々な対策がされるようになり、
地球全体の問題として位置づけられています。
そのベースになっているのが、真鍋さんの研究ということです。
◆物理学賞に地球科学分野から
今までの物理学賞は、青色発光ダイオードやリチウムイオン電池の開発など
物理学の王道が受賞するケースが多く、今回受賞されたような
地球科学分野が受賞することはありませんでした。
本当に優れた研究が評価されたという一面もありますし、
もう一方では地球科学分野が全世界的に非常に重要な
研究課題となっており、その解決が望まれているということの
現れであるとも言えます。
◆異常気象の発生確率
何か大きな異常気象があったときに、この異常気象は
地球温暖化が原因なのか?という疑問に答えることは、
難しい問題でした。
しかし、近年では「イベントアトリビューション」という手法を用いて、
その関連性が説明できるまでになってきました。
「イベントアトリビューション」
多数のパラレルワールドの中で、今回の異常気象が発生してい
る世界がいくつあるかを数えることで、その異常気象がどのくらいの
確率で起こったのかを数値で表すことができます。
さらにモデルを用いると、人間活動による気候への影響をモデル
から取り除いて、温暖化が起こらなかった場合の仮想の世界を
作り出すことができます。この仮想世界にもパラレルワールドが存在します
ので、同様の手法で発生確率を見積もり、温暖化が存在する世界と
比較することで、地球温暖化が異常気象の発生確率を
どの程度変化させているかを推定することが可能になります。
このような試みを「イベント・アトリビューション」と呼びます。
出典:異常気象と地球温暖化
今田 由紀子(気象庁気象研究所 気候・環境研究部 第 1 研究室)
https://www.mri-jma.go.jp/Topics/H31/310417/abstract.pdf
つまり温暖化した世界のいくつものパラレルワールドと、
温暖化していないいくつものパラレルワールドを作り、
例えば50年に一度の豪雨が何度起きるかを比較することで、
温暖化が豪雨に与えている影響を確認することができるということです。
このイベントアトリビューションを用いて、気象研究所が行った調査によると、
平成29年7月九州北部豪雨及び平成30年7月豪雨に相当する
大雨の発生確率は、温暖化していない世界と比較すると3.3倍にもなるそうです。
https://www.nies.go.jp/whatsnew/20201020/20201020.html
◆劇的には改善しない地球環境
今回ノーベル物理学賞を受賞された真鍋さんや、
そのあとの研究者の方によって、温室効果ガスが地球温暖化に
影響を与えていることがわかり、さらに地球温暖化が
様々な災害の発生確率やその強度を高めていることが
わかるようになってきました。
今各国で地球温暖化対策が急ピッチで行われており、
政治的にも重要な課題となっています。
ただ、様々な対策を行ったとしても、劇的に効果があるものは少なく、
時間をかけて改善していくものになるでしょう。
甚大な災害も、多数発生することになるのは、
おそらく避けられません。
そうであるならば、災害に対してできるだけの備えをすることが重要になります。
地球温暖化を考えたときに、我々がしなければならないのは、
地球温暖化を抑えるための様々な工夫と、地球温暖化によって
発生する様々な災害への対策なのです。
今回もお読みいただきありがとうございました。
次回の更新もお楽しみに!